Key Takeaway
アドバンテックは、Future Fibre Technologies社と共同でコンベアの次世代状態監視ソリューション「Aura IQ」を開発しました。光ファイバセンシングと産業用PCの融合により、ダウンタイムの大幅削減とわずか6ヶ月未満での投資回収(ROI)を実現
パートナー企業: Future Fibre Technologies(FFT)社
対象地域: オーストラリア
背景
コンベアシステムは、梱包、印刷、食品・飲料、配送、鉱業、製造業など、世界中のあらゆる産業において、原材料や製品を迅速かつ効率的に移動させる「生産のバックボーン(中核)」として活躍しています。コンベアには、ベルト式、ローラー式、スラット式、空気圧式など多種多様なタイプがあり、用途に応じて最適なシステムが選定されています。その中でもコンベアベルトはシステム内で最も高価なコンポーネントの一つですが、長期間使用を続けると、以下のような特有の欠陥が発生し、生産性を低下させる原因となります。
- 蛇行: ベルトが規定の走行ルートから外れてしまう現象。
- ベルトのスリップ: 摩擦力の不足によってベルトが伸び、滑りが発生する現象。
- 目詰まり・詰まり: 搬送物がベルトに挟まり、ライン上に滞留・堆積してしまう現象。
- ベアリングローラーの破損: ローラーが焼き付いてロックし、摩耗によってエッジが鋭利になることで、システム全体を傷つける現象。
こうした故障やベルト交換に伴う操業停止を回避するためには、故障の前兆を捉える予知保全が極めて重要です。
これまでも目視検査などの状態監視は行われてきましたが、従来の監視手法は「信頼性が低い」「時間がかかる」「労働集約型でコストが高い」、さらには「危険を伴う」という課題がありました。また、人間の聴覚、赤外線カメラ、マイクを頼りにする手法では、摩耗したベアリングが必ずしも発熱するとは限らないこと、周囲の工場騒音でマイクの音声が遮られてしまうこと、そして人間の判断には限界があることなどから、完全な検知は困難でした。最新の研究では、機械トラブルの最大90%は予測可能であり、サービスを停止することなくオンラインで適切なメンテナンスを行えば回避できることが証明されています。
システム要件
本プロジェクトは、光ファイバ技術のスペシャリストであり、高感度かつ高精度なファイバ侵入検知システムを展開するFuture Fibre Technologies(FFT)社向けに、新たなソリューションを概念設計することから始まりました。
新しい検出システムには、以下の厳格な基準が求められました。
- 高精度、予測可能、定量化された実用的なデータの提供
- 高い信頼性と容易な設置性
- 優れた耐久性とコストパフォーマンス
- システムの柔軟な適応性
システム構成図
開発されたFFT Aura IQシステムは、アドバンテックの産業用シングルボードコンピュータ「PCE-5129」と、デュアルシステムに対応した4Uラックマウントシャーシ「ACP-4010」をベースに構築されました。これにFFT社の光ハードウェアセンシング技術と、クラウド接続機能を備えた高度な解析ソフトウェアを組み合わせることで、IoTクラウド・エッジセンシング・ソリューションを実現しています。本システムでは、1本の光ファイバケーブルを分散型音響センサ(DAS)へと変換し、中央の管理機器およびソフトウェアに接続します。センサーとなる光ファイバケーブルをコンベアの構造体に沿って配置することで、0.5m間隔という驚異的な密度で固有の測定点を構築することに成功しました。
システムは各センサポイントからの入力データをリアルタイムに解析し、運行・保全担当者へ情報を共有します。高度なアナリティクスにより、あらかじめ設定された許容値やパターンから外れたデータを検知すると、即座にアラームやメンテナンス通知を発信します。さらに、ベアリングローラーの破損を未然に防ぐため、発生したすべての事象に相対的な数値を割り当てて集計し、コンベアローラのセクションごとにベアリングの劣化進行状況をわかりやすく可視化したヒートマップを生成します。
クラウドおよび製造実行システム(MESなど)と連携したこの状態監視システムにより、故障が発生するはるか前に予兆を捉え、計画的なメンテナンスや部品交換が可能となり、突発的なライン停止やベアリング破損に伴う膨大な損失を防止します。
導入製品
まとめ
コンベアシステムは、製造業における迅速かつ連続的な資材搬送に不可欠であり、労働コストを抑えながら生産性を最大化する要となっています。
本システムの導入により、コンベア上のすべてのポイントにおけるローラーやベアリングの包括的な平均故障前時間(MTTF)データの取得が可能となりました。システムはIoTを活用してクラウドネットワーク化され、お客様の既存の生産・製造制御システムへとシームレスに統合されています。この高度な監視システムの構築に成功したことで、クライアントは以下の導入効果を創出しています。
- 高い信頼性と安全性の確保、およびメンテナンスコストの最小化
- プロアクティブな自動レポートによる、最適なタイミングでの低コスト保全
- わずか6ヶ月未満と見積もられる、極めて優れた投資回収期間(ROI)の達成
本ソリューションは柔軟性が高く、新設・既設のシステムを問わず、他の工場やプラントへも容易に水平展開が可能です。企業の設備投資を保護し、生産効率を最大限に高め、ワークフローの停滞を完全に防止する次世代のスマート製造ソリューションです。
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